みなさんこんにちは!今回の「突撃!隣の農家さん!」は、脱サラしてトマト農家に就農された功刀さんに突撃してきました。クラウドファンディングを駆使して新しい農業の形に挑戦する、功刀さんの物語をお楽しみください!
義父のこだわりに憧れて脱サラ!専業農家へ
山梨で生まれ育ち、身近であった農業に貢献したいという思いで大学卒業後にJA山梨厚生連に入会しました。JA在職中は今後の農業のために何かできることがないかと自分なりに考える日々でしたが、10年間務めていたにもかかわらず、残念ながら農業の現場に行く機会はほとんどありませんでした。農業と密接にかかわっているようで実はそこまで現場に近いわけではない仕事をしている中で、自分はそもそもどんな思いで今の仕事についたのか、どんなことを成し遂げたかったのだろうかと、悶々とすることがよくありました。
そんな中、8年前に農家の娘だった妻と結婚し、妻の実家の農業を手伝うようになりました。初めて義父の栽培するトマトを食べた際に「こんなに美味しいトマトがあるんだ!」とすごく感動し、どうしたらこのトマトをもっとたくさんの人に知ってもらえるのだろうか、もっとたくさんの人にたべてもらいたいと、とてもワクワクしたことを覚えています。もともと全農の職員だったので農業について興味があったということもありますが、こだわりをもって質の高い仕事をしている義父の姿が輝いて見えて、このこだわりを後世に残していきたいと感じ、全農を退職して義父が経営していたヨダファームに専業農家として就農することにしました。
受け継いだ自慢のトマトのおいしさを多くの方に届けたい
私は大玉のトマトを専門に栽培していますが、今はアメーラやフルティカなど人気のミニトマトや中玉トマトが増えてきたこともあって、私たちが昔からよくイメージしていた大玉トマトが消費者の選択肢としてあがることが以前と比較すると減ってきていると感じます。とは言っても品目を変えることは考えていません。もちろん、品目を変えることが並大抵の労力でできることではないという理由もありますが、やはり義父のこだわり抜いた栽培方法、品種を受け継ぎ、「美味しいものを皆さんに届けたい!」という気持ちを守っていきたいという理由が大きいです。私自身もこだわりを持って栽培していますので、従来のトマトの素朴なおいしさや見た目の美しさが改めて評価され、「トマトといえば、昔ながらの大玉のトマトだよね」と言われるようになってほしいという想いは大きいです。
ただ、小さいトマトよりも大玉トマトの方が栽培に手間がかかりますし、大きく成長するまでに時間がかかるので病気のリスクも高くなります。そのコストやリスクが利益に見合っているかというと正直厳しいので、どうすれば事業としてきちんと持続可能にできるのかということは常に課題意識を持って考え、挑戦を続けています。
想いを伝える~クラウドファンディングの活用~
ヨダファームでは挑戦の一環としてこれまで複数回にわたってクラウドファンディングを活用してきました。例えばあるクラウドファンディングではトマトの加工品生産に取り組みましたが、プロのシェフから監修いただいてプロ品質の加工商品を目指すのではなく、昔からたくさんトマトを食べている自分たち農家だからこそ作れる『代々農家に伝わる〇〇』のような商品作りを心掛けています。ちゃんとこだわって作った商品を、作り手の想いとともに届けたいと考えたときに、農協や店頭に商品を並べたりECサイトで販売したりするよりもクラウドファンディングという形式はとても合っていると感じます。
実際、クラウドファンディングを通じてファンになってくださった方は、次どんな商品が出るのかな?というよりは、次どんな挑戦をするのだろうかと気にかけてくださる方が多く、想いが届いているのだと嬉しく思っています。
想いを届けるという点では、最近ビジネス系のイベントでも農業者がピッチと呼ばれるプレゼンをできる機会が増えてきており、そのような場でも情報発信をしているのですが、イベント主催者や参加者の方も若手農業者の発信を面白いと思ってくださっているようです。農家や農業に関係している人の想いを聞くチャンスが増えれば、それだけ興味を持ってもらえる人が増え、少しずつでも農業を取り巻く状況が変わっていくのではと思うので、外部の方から機会を頂いて発信するだけでなく、私自身でも発信する場作りに取り組んでいきたいと考えています。
新たな挑戦! “採れたて3分のトマト”を味わえるカフェ
発信の場として、少し違った観点で何か新しい取り組みができないかと考えていた際に、想いやこだわりを発信するだけでなく、トマトを作っている様子を見てもらえて、採れたてのトマトをすぐに味わえるようなカフェが畑の近くにあるといいかも?と考えるようになりました。
家族4人のトマト農家にとってはとてつもなく大きな挑戦で本当に多くの苦労がありましたが、2024年8月にヨダファームキッチンとして畑から徒歩2分の場所にカフェをオープンすることができました。お客さんご自身が畑からトマトを収穫して食べることができるということも実現できれば「若い人がやっている農業ってこんな感じなんだ」「農業って素敵だな」と農業自体の魅力も感じてもらえるのではないかと思います。トマトの良さをたくさん語ってくださる素敵なスタッフさんにお手伝いいただいて、行きたくなるような場所作りにもこだわっています。「ただトマト食べられるだけかと思ったらくつろげていいなぁ、また来ようかな」と自然と行きたくなるカフェにしていきたいと思っています。
3分前に採れた、まさに収穫したてのトマトを味わう。都会の三ツ星レストランでもできない素敵な食体験に、ぜひ皆さんもお越しください!
インタビュアーより一言
トマトのお話をされている時の功刀さんの素敵な笑顔を拝見して、とっても愛情深く育てていらっしゃるんだなと、ほっこりする場面がたくさんありました。夏から新たな挑戦としてカフェの運営にも力を入れていらっしゃる功刀さんの今後のご活躍も応援しております!オリジナルのカフェメニュー私も是非味わいに行きます!