農業経営において、病害虫対策は収量や品質を左右する極めて重要な取り組みです。病害虫対策がうまくいけば安定した生産につながりますが、病害虫対策の判断を誤ると被害が拡大し、作業負担やコスト増加を招くこともあります。一方で現場では、 「毎年同じ病害虫対策をしているが、本当に合っているかわからない」 「病害虫対策の情報が多すぎて選べない」 「病害虫対策が発生後の対応になってしまっている」 といった声も多く聞かれます。本記事では、病害虫対策を単なる作業としてではなく、「どう考え、どう選ぶか」という視点で整理しながら、農家さんが現場ですぐに使える病害虫対策のおすすめサービスを紹介します。
目次
- 農家が抱えやすい病害虫対策の悩み
- 病害虫対策は「予防」と「対応」で整理する
- 病害虫対策を支えるおすすめサービス
- まとめ:病害虫対策は「判断力」で差がつく
農家が抱えやすい病害虫対策の悩み
病害虫対策は、多くの農家さんにとって頭を悩ませやすいテーマです。正解がはっきりせず、判断を間違えると被害が一気に広がる可能性があるため、どうしても慎重にならざるを得ません。
実際の現場では、病害虫対策について次のような悩みがよく聞かれます。
- 病害虫対策の判断基準があいまい
- 経験や勘に頼った病害虫対策になってしまう
- 病害虫対策のタイミングを逃してしまう
- 病害虫対策に使えるサービスが分からない、使いこなせない
まず多いのが、病害虫対策の判断基準が分からないという悩みです。「去年はこれでうまくいった」「近所の農家がやっているから」といった理由で病害虫対策を選んでいるものの、本当に自分の圃場条件や作物に合っているのか、自信を持てないケースは少なくありません。
その結果、病害虫対策が経験や勘に頼りがちになります。
長年の経験は大きな財産ですが、気象条件や病害虫の発生傾向が変化する中で、過去の成功体験がそのまま通用しない場面も増えています。それでも他に判断材料がないため、同じ病害虫対策を繰り返し、うまくいかない理由が分からないまま次の年を迎えてしまうこともあります。
また、病害虫対策のタイミングを逃してしまうという悩みも少なくありません。
病害虫対策は「早すぎても意味がなく、遅れると被害が広がる」という難しさがあります。忙しい農作業の合間に圃場を見回り、「何かおかしい」と気づいたときには、すでに病害虫対策が後手に回っていた、という経験を持つ農家さんも多いのではないでしょうか。
さらに近年では、病害虫対策に使えるサービスについても、「どれを選べばよいのか分からない」「導入しても使いこなせなかった」といった声が聞かれます。AI診断や予察情報、管理アプリなどはありますが、自分の営農スタイルに合うかどうかを判断するのは簡単ではありません。
これらの悩みに共通しているのは、病害虫対策が「症状が出てから対応する」「毎年同じ作業を繰り返す」といった形になりやすい点です。本来、病害虫対策は単発の作業ではなく、
- 予防
- 発生の把握
- 判断
- 対応
- 振り返り
という流れで考えていくものです。この流れを意識できるようになるだけでも、病害虫対策は「悩み続けるもの」から「考えながら選んで進められるもの」へと変わっていきます。
病害虫対策は「予防」と「対応」で整理する
病害虫対策は、やることが多く複雑に感じられがちですが、「予防」と「対応」の2つに分けて考えることで、判断がしやすくなります。予防を重視した病害虫対策とは、病害虫が発生してから対処するのではなく、そもそも病害虫が発生しにくい環境をつくる考え方です。 圃場の排水性改善や土づくり、作付け・輪作計画の見直しなどは、代表的な予防型の病害虫対策です。即効性は高くありませんが、長期的には病害虫の発生を抑え、農薬散布回数の削減や作業負担の軽減につながります。一方で、病害虫が発生した後に行う対応型の病害虫対策も、現場では欠かせません。農薬散布や捕殺、ネット設置などは即効性が高く、適切なタイミングで行えば被害を最小限に抑えることができます。 ただし、判断が遅れると被害が一気に拡大し、コスト増につながるリスクもあります。 多くの農家さんは、予防型と対応型の病害虫対策を組み合わせながら営農しています。 それぞれの役割を整理したうえで判断できるようになると、病害虫対策は必要以上に悩み続けるものではなくなり、状況に応じて選んで進められるものになっていくでしょう。
病害虫対策を支えるおすすめサービス
近年、病害虫対策を支援するデジタルサービスも見られるようになってきました。 こうしたツールは、病害虫対策を進めるうえでの「判断」を補う役割を果たします。 ここからは、病害虫対策に役立つサービスをいくつか紹介します。
レイミー:AI病害虫雑草診断
特徴
- スマートフォンで撮影した作物や葉の写真から、AIが病害虫・雑草を判別する診断アプリ
- 病害虫の名前だけでなく、生態や発生しやすい条件、防除の考え方まで確認できる
- 地域や作物に応じた発生情報(予察情報)も提供され、病害虫対策の判断材料として活用できる
- 図鑑機能が充実しており、病害虫・雑草を調べながら農薬選択の参考にできる点も特徴
- 診断履歴や圃場情報を記録でき、過去の発生状況を振り返る用途にも使える
導入メリット
- 「何の病害虫か分からない」という初期判断の迷いを減らせる
- 写真撮影だけで診断できるため、現場でそのまま確認できる手軽さがある
- 予察情報を参考にすることで、病害虫対策のタイミングを考えやすくなる
- 履歴が残ることで、圃場ごとの発生傾向を把握しやすくなり、毎年の対策を見直す材料になる
- 無料で利用でき、初めてデジタルツールを使う場合でも導入ハードルが低い
【こんな方におすすめ】 病害虫が発生した際の初期判断に迷いやすく、経験や勘だけに頼らず病害虫対策を整理しながら進めたい、圃場ごとの発生履歴を次の年に活かしたい農家におすすめです。
⇒サービス紹介:レイミーのAI病害虫雑草診断
ミライ菜園:防除DXアプリ「TENRYO」
特徴
- 気象データや過去の発生情報をもとに、病害虫の発生リスクを予測・可視化するサービス
- 地域ごとの気象条件を踏まえ、病害虫が「発生しやすい時期」を事前に把握できる
- スマートフォンやPCから確認でき、日々の防除判断の参考情報として活用できる
- 実際の防除作業を自動化するものではなく、判断を支える情報提供に特化している点が特徴
導入メリット
- 「いつ防除すべきか」「今回は様子を見るべきか」といった判断の迷いを減らせる
- 必要以上の農薬散布を避けやすくなり、コストや作業負担の軽減につながる
- 経験や勘に頼りすぎず、気象データに基づいた判断ができる
- 病害虫対策を“事後対応”ではなく“事前に備える”考え方に切り替えやすくなる
まとめ:病害虫対策は「判断力」で差がつく
病害虫対策サービスを選ぶ際は、まず「何を助けてくれるサービスなのか」を整理することが大切です。すべてを一つで解決しようとせず、役割ごとに考えることで、無理なく使い分けられるようになります。 たとえば、次のような視点です。
- 病害虫の発生状況を把握するためのものか
- 防除のタイミングや要否を判断するためのものか
- 実際の対応や記録管理を支援するものか
- 自分の作物・規模・栽培形態に合っているか
- 毎年、無理なく継続して使えるツールか
といった点も重要になります。
病害虫対策は一度きりではなく、毎年繰り返し向き合うものだからこそ、「続けられるかどうか」が結果に大きく影響します。そもそも、病害虫対策には「これをやれば必ずうまくいく」という正解はありません。気象条件や圃場環境、作物の状態は毎年変わり、それに合わせて対策も見直す必要があります。すべての圃場に当てはまる万能な病害虫対策は存在しないからです。だからこそ病害虫対策は、決められた正解を守るものではなく、自分の圃場に合わせて選び直していくものと捉えることが大切になります。判断をしやすくするためには、今行おうとしている対策が「どんな目的のものか」を意識することが役立ちます。
- 予防のための対策なのか
- 発生後の被害拡大を防ぐための対策なのか
- 今、どの段階で必要な対策なのか
これを整理するだけでも、迷いはかなり減ります。近年は、農薬や防除方法、栽培管理の工夫に加え、AI診断など、病害虫対策の選択肢も広がっています。選択肢を知っておくことで、毎年同じやり方を繰り返すだけの病害虫対策から、一歩抜け出しやすくなります。病害虫対策をただの「作業」としてこなすのではなく、一つひとつ判断しながら積み重ねていくものとして向き合うことが無理のない営農を支える力になります。ぜひ、自分の圃場に合ったやり方を、少しずつ見つけていきましょう。
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